0144-72-1201
About Thyroid disease
甲状腺疾患について
甲状腺の働き
Function of the thyroid gland
甲状腺は首の前、のどぼとけの下にあって蝶が羽を広げたような形をしています。正常の甲状腺はほとんど外から触れることはありません。甲状腺が産成する甲状腺ホルモンは体の働きを調節するとても重要な働きをしています。糖を分解してエネルギーを産成し、心臓を刺激して脈拍や血圧をあげ、神経活動を活発にします。体の成長にも大切です。甲状腺ホルモン(検査ではFT3、FT4)が少なくなると脳下垂体から甲状腺刺激ホルモン(TSH)が分泌されて、これが甲状腺を刺激して甲状腺ホルモン産成を促します。甲状腺の病気には大きく分けると、甲状腺ホルモンが不足するもの(甲状腺機能低下症)と過剰になるもの(甲状腺中毒症)、甲状腺腫瘍があります。まず最初に機能低下症と中毒症に特徴的な症状をあげます。
<よくある症状>
甲状腺機能低下症
中毒症
●機能低下症
●皮膚が乾燥してかさかさする
●寒がりで冬に弱く夏に強い
●声がかすれたり低くなる
●便秘
●顔や足のむくみや体重の増加
●精神活動の低下
●眠気
●物忘れ
●認知症や精神病と間違われる
●中毒症
●動悸
●息切れ・特に動いた時に悪化
●手や指が細かくふるえる
●汗かきで一日中じっとりと汗ばむ
●暑がり
●軟便
●食べているのに体重が減る
●無月経
●突然の手足の麻痺
●いらいらする
●そわそわする
< 甲状腺機能低下症の原因疾患 >
橋本病
橋本病は、細菌やウィルスなどから体を守るための免疫(抗体)が、自分の甲状腺を標的にしてしまうことで甲状腺ホルモンの分泌が低下する病気です(自己免疫疾患)。成人女性の10人に1人、成人男性の40人に1人にみられ、女性に多い病気です。そのうち4~5人に1人が治療が必要になると言われています。初めは治療の必要がない方でも、ストレスや妊娠・出産などをきっかけに治療が必要となることがあるため経過をみていくことが大切です。
< 甲状腺中毒症の原因疾患 >
バセドウ病
抗体は本来細菌やウィルスなど外から入ってきた外敵(抗原)に対して働きますが、何らかの原因によって抗体が自分の体の一部である甲状腺を刺激してしまい、甲状腺ホルモンを過剰に産生してしまう疾患です。甲状腺が腫れたり、眼に典型的な症状が現れることがあります。適切な治療を受けないと、不整脈や心不全になることがあります。
無痛性甲状腺炎
甲状腺組織が何らかの理由で壊れたときに、甲状腺内に貯蔵されていたホルモンが一過性に血液中に放出される疾患です。橋本病の治療経過中に経験されることが多い疾患です。甲状腺中毒症の症状が見られますが、2〜3ヶ月の経過でほとんどの方が自然に軽快します。名前の通り甲状腺に痛みはありません。
亜急性甲状腺炎
ウイルスの感染によって甲状腺組織が壊れホルモンが一過性に血液中に放出される疾患と考えられています。甲状腺の痛み、発熱とともに甲状腺中毒症の症状が現れます。症状が重い時はステロイド治療を行います。
妊娠一過性甲状腺機能亢進症
胎盤が産生するヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)というホルモンが、甲状腺を刺激するために起こります。妊娠8〜13週ころに甲状腺ホルモンが多くなり、つわりの時期に一致します。